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「切画」は語りかける



素晴らしい絵画は、人から言葉を奪う。
その絵画がもたらす世界には言語が必要とされないからだ。

丸善丸の内で風祭竜二切画展 - 銀座新聞ニュース

ゆたかに踊る色彩。そして光の輝き、影の感触・・・唯一無二、切り絵と一線を画す「切画」という世界。
個展にて実物の切画を目の前にしたとき、その圧倒的な迫力と磁場につい言葉を失ってしまった。
小刀で彫刻のように切り出されていった紙。それが細心に重なり合っていき、光と影のコントラストが織りなされていく。やがてそれは、ときに200色にも達するという色紙の鮮やかな彩りに迎えられ、ゆたかな色彩のしらべを響かせる。平面にありつつ、それは揺るぎない立体であることを感じさせる。画の前に立っている者を次第にその奥行きに誘い込んでいく。

“つい言葉を失ってしまった”というさきほど書いた表現は、あるいは正しくないのかもしれない。じっと作品をみつめているあいだ、僕の持っているすべての言語は“失われてしまった”のだ。
すぐれた芸術は、そっと人々の心に忍び込んでくる、言葉を奪っていく。そして、奪った言葉のかわりに、ある種の振動を置いていく。その振動はとても音楽的なパーセプションを伴っていて、人々の内側にある何かをぐらりとさせる。そのぐらりときた場所は、いわば「魂のありか」なのだ。すぐれたアーティストは、そのように作品を通して魂の交流を行なうことが出来る。

追記
個展に足を運んだ折、風祭さんご本人とお話しすることができました。それはとても貴重な経験であり、光栄なことでした。
そして、ほんとうにタフなアーティストがそうであるように、風祭さんはとてもお優しい方でした。